比較的メールの返信は早い人なのに、今日に限ってなかなかそれがやってこない。もう寝てしまったのだろうか、とか、内容が内容なだけに返信をする気が無いのだろうか、とか、いやあの人ならむしろ面白がって電話すらかけてきかねないはずだ、なんていう考えがぐるぐると頭の中を駆け巡る。もしかしたらセンターに引っ掛かってるかもしれないと思って何回も問い合わせをしたし、相手を間違えたかもしれないと思って送信ボックスを何回も何回も確認した。携帯を片手に握り締めながら、明日の準備はもう完璧に近いというのに。あとひとつだけどうしても準備できないものがある。電車の時間は完璧、持ち物の確認も大丈夫、目覚ましはセット完了。でも一番肝心なものが用意出来ていない。もう一度送信メールをチェックする。宛先は大丈夫、間違ってはいない。センターにも留まっていない。あぁもうすぐ日にちが変わる。早く寝なくちゃ、明日お肌の調子が悪かったらそれだけで気分が滅入ってしまう。きっと彼はそんなことは気にしないだろうし、彼に会ってしまえば私のテンションも一気に跳ね上がるのだろうけれども。


携帯の日付がついに当日を示してからきっかり15分後、待望の相手から待望の文章が届いた。耳馴染みのメロディに思わずはっとする。いつもならもっと気軽な気持ちで触れるボタンが、今はやけに重たいように感じられるのはきっと緊張しているからだ。しかし、そんな私の状況とは裏腹に、恐る恐る開いたメールの文面はいつも通りのあの人の文体で綴られていた。そういう回答を予想していなかったわけではないけれどもこうもはっきりといわれてしまうと、かえって清々しい。よし、明日はやっぱりさっき考えた組み合わせで行こう。あれが一番私らしい。そうと決まればメールの返信だけして早く寝てしまうべし。とはいっても、先ほどのメールとはまた違った緊張感で果たして上手く眠れるのかは分からない。


≪君島先輩ヘルプミー!神崎君の好みが分かりません!私は一体どんな恰好でいけばいいんでしょうか??≫

≪ごっめーん遅くなって!っつーか服装なんて何でも良いんじゃねぇの?神崎もだったら何着てても可愛いとか思うだろーし≫

≪いえいえこちらも急にすみませんありがとうございます!そういうものなんですかねー、こうなりゃもう観念して自分の好きなモノ着て行きます。もしこれで神崎君に嫌われたら先輩責任とってくださいね!笑!それではおやすみなさい≫




すべてを賭けてきた、明日

ドキドキドキドキ。

20080511