視線が可視の線であったのなら、その太さはきっと思いの強さなんだろうな、何てくだらないことを思いながら、だったら私から彼へのそれはいったいどれくらいの強度を持っているのだろうかと、想像したら怖くなってしまった。でももしかしたらその線は一本で成り立っているのではなく複雑に絡み合っているから太く見えるだけで、一つ一つは案外細くて頼りないものなのかもしれない。だって現実問題、こんなことを考えながらもしっかりと視界の隅に彼の姿を捉えている私の視線は、面と向かえばいつも彼に向かって一直線なのに、彼は一向に私の想いに気付いてくれない。だから多分、視線を掴み取ろうと懸命に私自身のそれを彼だけに向けているつもりでも、頭の中では色んなことを考えているんだろう。もっとも、目が合ってしまえばそんなことを考える余裕さえなくなってしまうのだけれど。 「、」と彼が私の名前を呼べばその瞬間に私の頭の中では今までのどうでも良いような内容の思案が全て吹っ飛んで、真っ白でクリアな状態になる。浄化完了。しかし同時に思考停止。それでも視線は彼に釘付けになるから、私たちの視線はしっかりと絡み合っているはずなのに。脳内は絶賛パニック状態でも、それを表に出さなければ会話は進められていくし、能動的にすらそれを進めていくことが出来る。いつもの、事務的な会話だとしても。ちょっと伏目になって、恥ずかしげに視線を逸らした方がいいのだろうか。あぁそうか、こんなことを考えているから視線に力が入らないんだ。でも、もし本当にそうすれば、君は気付いてくれるかしら。 |
絡む視線を解くように愛す
でもやっぱり逸らすことなんて出来ないかもしれない。
20080511