確かに空調システムが整った室内はこの上ない快適さをもたらしてくれるものだし、今日ほどの暑さの中で散々遊びまわれば体の疲れも半端なものではないだろう、とは思う。そうなれば体は当然休息を求めるものだし、それを無理に酷使すれば健康上よろしくないのもわかる。しかしそれは頭の中では理解出来るといった範疇のもので、だからといって神聖な生徒会室で自分の寝どころを確保して良いという話ではないわけですよ、君島君。今日は生徒会全体の活動は休みだからここは無人のはずで、丁度良いから昨日までに片付けることの出来なかった仕事を今日中に片付けてしまおうと思ってドアを開けたら、目の前に現れたのが椅子を器用に並べてその上で眠りの世界に陥っている君だった、そんな私の驚愕を理解できますかあなた。

そんなことを目の前で惰眠を貪る相手に呟いてみたところで状況が変わるはずもなく、相手がもう少し恥じらいとか迷惑とかいう概念を持ち合わせている人間ならばまだしも、君島嵐士という人間にそれを強要しても意味が無いのだ。はっきり言って無駄、以外の何者でもない。とりあえず彼の位置はそのままに、自分の仕事を早く片付けて帰ってしまおうと決意してから自分の机を目指す。いつもの椅子に手をかけてそこに座ろうとした瞬間、「?」なんていう声がして驚いて振り向けば、そこにはとても寝起きとは思えない君島君が、まさに「にっこり」としか形容できないような笑顔で私のことを見ていた。

「仕事ー?」
「あ、はい、そうです」
「何で敬語?っつーか今何時?」
「あー、4時ですね。午後4時、16時です」

じゃあ1時間ぐらいかぁ、そう言いながら体を伸ばすしぐさがあまりにもわざとらしくて、思わず、君島君実は寝てないでしょう、なんて返してみれば彼は、なら気付いてくれると思ったよ。そう言ってまた、笑った。




天邪鬼と駆け引きを

この絶妙な言葉の掛け合いを、もっともっと続けようじゃないか。

20080518 改稿